知らなきゃヤバイ!歯医者が個別指導で指摘されるカルテとは

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①個別指導には目的があります。

  • 個別指導に必要な持参物に不備が無いかチェックする
  • 不備があれば指摘し正しいことを説明する
  • 指導を受ける歯科医師が理解できるまで説明する
  • 不備、改善点を明確にして診療報酬の自主返還につなげる

そのことを指導医療官は、新規個別指導は1時間。その他の個別指導は2時間で行います。

②反対に指導を受ける歯科医師が個別指導を問題なく終えるためには、

  • 不正請求をしない
  • 保険請求のルールを理解する
  • しっかりとしたカルテを作成する

ことができなければなりません。

言い換えれば、マジメに日々の診療に取組む歯科医師にとって「不正請求」は問題外として、「保険請求のルールを理解する」ことと「しっかりとしたカルテを作成する」ことができていれば個別指導は何も怖いものではないということです。

 

カルテが唯一「治療の根拠」を示す書類

少し掘り下げて考えると「保険請求のルールを理解する」ということは理解できていて当たり前という前提で個別指導は行われます。

歯科医師にとっては定期的に変更され、日々忙しい歯科診療の中で「そんなこと言われても困る」と思われるのはよく分かります。

しかし、指導医療官は役人であり保険請求のルールを熟知した者です。保険請求を行う歯科医師は「そのルールを知っていて当たり前。知らないのなら保険請求をする資格無し」という考えです。

その保険請求のルールに基づいて正しく行われた保険治療であり、保険請求であることの根拠を示すための唯一の書類がカルテです。

厚生局はレセプトだけでは分からない

個別指導が行われるのには理由や目的があります。

しかし、厚生局にはレセプトのデータしかありません。患者の主訴や歯科医師の所見、検査の目的や検査結果、治療内容などの保険請求の根拠は分かりません。

そのことから、厚生局は毎月のレセプト請求のデータから請求の根拠の説明を求めてきます。個別指導を受ける側の歯科医師は「そんなことレセプトと持参したカルテから分かるだろ」と思います。

 

レセコン任せで作成された形式的なカルテ

では、そのカルテはどのように作成されているでしょうか?

  1. レセコンで部位と病名を選ぶ
  2. 可能な処置の一覧が表示される
  3. 処置を選択する
  4. 選択した処置に対する形式コメントの一覧が表示される
  5. 上から3つ目。多くて5つ目までのコメントを選択する

そして、カルテの完成となります。

多くの歯科医師のカルテ作成方法はこんな感じではないでしょうか?この作成方法にプラスしてこんな方もいます。

  • 使用しているレセコンにコメント選択機能が無いため、全てのカルテにコメントが無い
  • レセコンに病名から表示される処置を全部選択し請求する

この様な歯科医師は実はかなり多いです。

下記の2つはひとまず置いておいて、上記の1~5の流れで作成されている歯科医師は多いと思います。

では何が問題となるのでしょうか。

つじつまが合わないカルテが完成

レセコンで表示される処置は、病名に対して行える可能な処置が表示されています。何となく表示される処置をっ選択していると実際に行った処置とに乖離が生じます。

訪問診療などで診療時間と実際に診療した患者数のつじつまが合わない

神経をとった箇所に麻酔をしているなど治療内容のつじつまが合わない

など、明らかにおかしなカルテとなっている場合が多くあります。

形式化された同じカルテ

どうしてもレセコンに頼ってカルテを作成していると、

  • 初診からの流れがどの患者さんも同じ
  • 同じ処置を行った患者さんのときはすべて同じコメント

などとなってしまいます。

「それが何か問題?」と思われるかと思いますが、そもそも保険診療を行い、保険請求を行うためには以下の根拠を示す必要があります。

  1. 患者の主訴があり、
  2. ○○を疑い、
  3. そのことから△△の検査を行った、
  4. 検査の結果○○であることが判明した、
  5. そのため□□の治療を行った

このことがカルテで示されて、はじめてどんなことで患者が来院して、この検査を行い、検査結果からこの治療を行ったのかということが把握でき、指導医療官は納得します。

そのことから考えても、上記のようなカルテでは最も重要と言っても過言ではない「患者さんの主訴」が分からないカルテや、同じ症状の場合は全員同じということになってしまいます。

レセコンは歯科医師の事務負担を軽減するもの

レセコンは労務負担を軽減し、クリックするだけでレセプトが完成するほどになっています。もはや「カルテはレセコンが自動作成してくれるもの」との認識されているほどです。

しかし、レセコンによって負担が軽減され恩恵を受けるのは歯科医師であって患者さんではありません。

手書きのレセプトであれこのような画一的で形式的なレセプトが作成されることはありませんでした。また保険請求に関する算定根拠を聞かれてもカルテから患者さんの顔を思い出ししっかりと答えることができました。

歯科医師につっては便利になったレセコンですが、このような落とし穴があることは理解しておく必要があります。

 

 

レセコンで根拠のあるカルテを作成するには

上記のような落とし穴があることを理解してレセコンを使いこなすのと、知らないで使うのとは全く違います。

また、さらにレセコンでも画一的で形式的ではないカルテを作成することは可能です。

それは、一番の問題はコメント機能であることから、コメント入力機能はカスタマイズして自分でしっかりと入力することを習慣化することです。

レセコンの形式コメントでの入力が習慣化している方場合、最初は少し大変かと思います。しかし、慣れれば自身で入力することは対して苦となるほどのことでもありません。

少しの負担で大きなリスクを回避できる

この様に、

  1. 患者の主訴があり、
  2. ○○を疑い、
  3. そのことから△△の検査を行った、
  4. 検査の結果○○であることが判明した、
  5. そのため□□の治療を行った

を普段からカルテで示すことができれば、個別指導を恐れる理由は何もありません。個別指導に対し不安やストレスを抱く心配もありません。

不正請求の疑いの個別指導の多くは、「医院経営が苦しく不正請求に手を出してしまった」という歯科医師ではなく、保険診療の基本である保険請求のルールの知識不足によるものです。

そのことで、個別指導➔監査➔取消処分となってしまってはシャレになりません。根拠ある正しいカルテを作成していればこの様なことには絶対になりません。

何より正しくカルテを作成することは患者さんのためでもあり、保険診療を行う歯科医師として絶対に知っておかないといけない保険請求のルールそのものです。

 

 

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